改訂版マニュアル – 卓上減圧蒸留器 MVD08
以下は公式サイトの使用説明を整理し、素人でもわかりやすいように再構成したものです。必要な条件や不明点については 「想定事項」 として明示しています。
公式サイト:https://www.uzmlab.com/UD/MVD08/how-to-use
1. 概要と部品構成
- この蒸留器は卓上サイズの減圧蒸留装置で、真空ポンプで沸点を下げることで素材の香味を損なわずに蒸留できます。
- 主な構成:ガラス製ボイラー、ボイラー蓋、飛沫同伴防止板、加熱プレート、蒸気蒸留ステージ、傷付き防止パッキン、アクリル保護カバー、コンデンサーユニット、蒸留液回収瓶、真空ポンプ、冷却水配管、蒸留液配管、LEDライトなど。
2. ボイラーユニットのセッティング
- パッキンと加熱プレートの設置:ガラスボイラーに傷つき防止パッキンを敷き、その上に加熱プレートを乗せます。直接接触を防いでガラスを傷から守ります。
- 充填:蒸気蒸留の場合は水のみを、煮出し蒸留の場合は素材と水を投入。総量は 約750 ml までにし、それ以上入れると加熱中に泡がコンデンサーに侵入する恐れがあります。
- 蒸気蒸留ステージ:加熱プレートの支柱にステージを軽くねじ込み、蒸気蒸留時はその上に素材を載せます。
- 飛沫同伴防止板の取り付け:ボイラー蓋に取り付けることで飛沫がブロックされ、蒸留液の純度が向上します。経年劣化で外れやすくなった場合は切り欠きを少し広げて保持力を回復させます。
- 蓋と保護カバー:飛沫板付き蓋をガラスボイラーにそっと乗せ、金属部分をぶつけないよう注意します。その上からアクリル保護カバーを被せ、万一ガラスが減圧で割れた場合でも破片の飛散を防ぎます。
- コンデンサーユニット:蒸気出口と配管位置を合わせて蓋に載せるだけで接続完了です。
3. 冷却水配管の準備
- 付属の水栓用継手の内側を水で濡らし、蛇口にぐっと差し込みます。泡沫金具付きの蛇口の場合は別途アダプターが必要です(市販品リンク参照)。
- 継手に冷却水チューブ用継手を取り付け、付属チューブを奥まで差し込みます。
- 冷却水の供給側チューブをコンデンサー左側、排水側チューブを右側の継手へ接続し、必要な長さにハサミでカットします。
- 排水側チューブの末端には金属製継手を取り付け、シンクの底に置いて重りにします。これで排水チューブが暴れるのを防ぎます。
4. 蒸留液配管のセッティング
- ボイラーユニットとコンデンサーユニットを一体にしてIHヒーターに乗せ、隣に蒸留液回収瓶を配置します。
- 真空ポンプは邪魔にならない位置に置き、装置 – 回収瓶 – ポンプをチューブで接続します。バーのカウンターなどではポンプを裏側に置くと外観がすっきりします。
- 付属チューブが不足する場合は市販の同径チューブを使用可能です。
5. 減圧蒸留の運転
- 真空引きと脱気:蒸留液回収瓶のバルブを閉めた状態で真空ポンプをONにします。適切に配管されていれば真空計はおよそ −90 kPa前後を指しますが、−80 kPaを下回っていれば問題ありません。最初はバルブを閉めたまま動作確認を行うのが安全です。
- 脱気工程:配管の確認後、回収瓶のバルブを開きます。これによりボイラー内部が減圧され、水に溶け込んだ空気が泡となって抜けます。起動時は真空が安定した後1分ほど放置して十分な脱気を行ってください。
- 冷却水の供給:蛇口を開けて冷却水を導入します。供給流量は1 cm/秒で液面が上昇する程度で十分です。オプションのLEDライトをコンデンサー上部に載せると色が変わるギミックが楽しめます。
- 加熱:IHヒーターで加熱を開始します。出力300 W程度から始め、蒸留が安定してから出力を上げます。最初から高出力にすると溶存空気が急に沸騰し、泡がコンデンサーに侵入することがあります。液面が加熱プレートより下がらないよう常に注意し、蒸留中に干上がらないよう監視します。
6. 蒸留中のサンプリング
- 回収瓶の液面がキャップの近くまで上がる前にサンプリングを行います。
サンプリング手順:
- 回収瓶のバルブを締め、真空ポンプの電源をOFFにします。
- バルブを外して瓶内に空気を入れ、大気圧に戻します。
- キャップを外し、蒸留液を別容器に移します。
- 別容器へ順番に移してテイスティングすることで、時間経過による風味の変化を把握し、好みのヘッド・ハート・テールを判断できます。
7. 終了と洗浄
- 蒸留終了後、IHヒーターと真空ポンプを停止します。
- 冷却水を抜くため排水側チューブを外し、供給側継手を蛇口から外して低い位置に持っていきます。コンデンサー内部の水がチューブを伝って抜けます。
- 蒸留液用チューブをコンデンサーユニットから外します。
- コンデンサーユニット、アクリル保護カバー、ボイラー蓋を取り外します。ガラスボイラーや加熱プレート等は丸洗いでき、食器用洗剤とスポンジで洗浄または食洗機使用も可能です。
- 内部洗浄:コンデンサー内のコイルを洗う場合は回収瓶のバルブを開けた状態でチューブを配管し、水を流して内部を洗浄します。
- 洗浄後はコイル内に水が残るため、真空ポンプを使って吸引し回収瓶に集めます。さらに、ポンプ運転中に蒸気通路を指で塞いだり開けたりすることで空気が一気に流れ込み、残留水滴を吹き飛ばせます。
8. 安全上の注意
- ガラス部品は温度変化や衝撃に弱いため、設置・洗浄時にぶつけないよう注意してください。
- 減圧でガラスが割れる可能性があるためアクリル保護カバーは必ず装着します。
- 蒸留する液体や素材によっては火気や健康面でのリスクがあるので、使用前に法令や安全情報を確認し、十分に換気された場所で作業してください。
- 加熱中に液面が減り過ぎないよう定期的に確認し、空焚きによる部品の損傷や発火を防いでください。
9. 想定事項(本説明で補った前提)
- このマニュアルは MVD08 Micro Vacuum Distiller を使用する想定で作成しています。機種やオプションの有無によって部品構成が異なる場合は適宜読み替えてください。
- 使用者が付属品(真空ポンプ・蒸留液回収瓶・各種チューブなど)を一式持っている前提です。
- 作業場所には蛇口があり、チューブが届く範囲にシンクや排水設備があると想定しています。
- 蒸留が可能な液体は国や地域によって規制されている場合があるため、アルコール蒸留など法令で許可されていない用途には使用しないと仮定しています。
- 安全性を高めるため、火気から離れた安定した場所で、適切な保護具(耐熱手袋や保護メガネ)を着用して作業することを前提としています。